ブロックチェーン分析企業であるChainalysis(チェイナリシス)は2025年12月18日、最新の調査結果を発表し、同年1月から12月初旬までにおける仮想通貨の盗難総額が34億1,000万ドル(約5,340億円)を超えていることを明らかにしました。
この数字は前年の33億8,000万ドル(約5,300億円)をわずかに上回り、依然として高水準の被害が続いていることを示しています。
レポートによると、2月に発生した大手仮想通貨取引所Bybit(バイビット)へのハッキングでは15億ドル(約2,350億円)が流出し、2025年における被害額の4割以上を占めました。
特に、被害の69%は上位3件のハッキングによるもので、盗難総額を大きく押し上げています。
こうした背景からチェイナリシスは、仮想通貨の普及にともない、セキュリティへの脅威も進化していると指摘しています。
Bybitハッキング事件
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レポートによると、近年は個人ウォレットから仮想通貨を盗まれる被害が深刻化しています。
この手口による流出額は、まず2022年に盗難総額の7.3%だったのに対し、2024年には44.4%に急増し、個人ウォレット被害が拡大していたことが明らかになりました。
2025年には個人ウォレットからの被害割合が20.6%に減少しましたが、Bybitのハッキングがなかった場合は36.8%に達していたと推定されています。
調査ではさらに、同年の個人ウォレットからの盗難被害件数が15万8,000件となり、2022年の約3倍であることが報告されています。
一方、個人ウォレットからの盗難総額は2025年に7億1,300万ドル(約1,120億円)に減少しており、2024年の15億ドルから大きく減ったことも明らかになっています。
これらの統計から、チェイナリシスは、攻撃者がより多くのユーザーを狙う傾向にある一方で、1件あたりの盗難額は減少していると報告しています。
仮想通貨企業に北朝鮮が潜入
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チェイナリシスは、2025年の北朝鮮によるハッキング被害の状況を踏まえ、仮想通貨業界における対策の必要性を指摘しました。
調査によると、2025年には同国のハッカーにより少なくとも20億2,000万ドル(約3,170億円)相当の仮想通貨が盗まれ、前年(2024年)比で被害額が51%増加しています。
この結果、北朝鮮からの攻撃による累計被害額は67億5,000万ドル(約1.1兆円)以上に達すると報告されています。
チェイナリシスは、こうした深刻な被害状況を踏まえ、高額資産を保有するユーザーに対する警戒を強化するとともに、北朝鮮特有のマネーロンダリングパターンを検知して攻撃を未然に防ぐ必要があると指摘しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.76 円)
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Source:Chainalysisレポート
サムネイル:AIによる生成画像


