米仮想通貨決済企業MoonPay(ムーンペイ)の社長であるキース・グロスマン氏は2025年12月22日、RWA(現実資産)のトークン化が、かつてデジタル化が既存メディア産業を変革した以上の速度で金融業界を変える可能性があるとの見解を示しました。
その背景としてグロスマン氏は、銀行業界が今後数年にわたってオンチェーン化へ向かうとのバンク・オブ・アメリカの見通しに言及し、数年前であれば急進的と受け止められた考え方が、現在では不可避な流れとして認識されつつあると述べています。
同氏は、自身がメディア業界でキャリアを始めた20年以上前を振り返り「アナログ産業がデジタル産業と衝突した際、既存のビジネスモデルや流通構造、権力構造が急速に再編された」と説明しています。
その過程では、流通の分離や既存ゲートキーパーの影響力低下、新たなプラットフォームの台頭が進み、業界は消滅するのではなく進化を余儀なくされたといいます。
同氏は、こうしたメディアの変化を引き合いに、トークン化も金融業界へ構造的な変化をもたらし、その進行はメディアのデジタル化より速い可能性があるとの認識を示しました。
「資産トークン化時代の到来」
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グロスマン氏は、これまで理論上の議論にとどまっていたトークン化が、現実的な段階に入った背景として「制度の明確化」を挙げています。
具体的には、立法の進展、規制当局による指針、銀行の参画、会計基準の整備が同時に進みつつある点を指摘し、仮説ではなく実装の段階に移行していると説明しました。
実例として、BlackRock(ブラックロック)がトークン化ファンドを提供していることや、フランクリン・テンプルトンがパブリックブロックチェーン上でトークン化されたマネーマーケットファンドを運用している点を指摘しています。
また、主要なグローバル銀行がオンチェーン決済、トークン化預金、リアルタイムでの資産移動を試験的に進めていることにも触れ、制度的な明確性が安定を生み、安定が資本とイノベーション、規模拡大を促すと述べています。
一方で、既存勢力による抵抗が生じるのは不可避であり、利幅や支配力、存在感が脅かされる局面ほど反発は強まるとしています。
この点についてグロスマン氏は、メディア業界でも同様の現象が見られたとし「変化に抵抗した企業ではなく、早期に適応した企業が生き残った」と説明しています。
そのうえで同氏は、金融機関が将来も存続する一方、その姿は大きく変わるとの認識を示しました。
同氏は、決済が数日から数分へ短縮され、資本がプログラム可能となり、資産が例外ではなく標準としてグローバルにアクセス可能になるとの見通しを示しています。
グロスマン氏は、金融業界が消えることはないものの、照合、決済、清算、保管といった中間的な役割は、今後ソフトウェアやプロトコル、コードによって担われる比重が高まると述べています。
こうした変化を踏まえ、オンチェーンでの構築とトークン化を受け入れ、金融処理の自動化が進む環境に適応した役割を再定義する組織が今後の競争で優位に立つとの見方を示しました。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.50 円)
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Source:キース・グロスマン氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像


