ビットコイン(BTC)は歴史的に約4年周期で大きな価格変動を繰り返してきた。この「4年サイクル」は、約21万ブロックごとに新規発行量が半分になる「半減期(halving)」を中心に形成されている。半減期によって供給が減速し、需要が維持されれば、希少性が高まって価格上昇につながるという構造だ。このサイクルは、ビットコイン誕生以来の3回の半減期を通じて強気相場と弱気相場のリズムを作ってきたと投資家たちの間では広く信じられてきた。
4年サイクルは終わったのか
しかし、近年の価格動向は従来の4年サイクルからの乖離を示しているとの指摘も増えている。2025年の相場では、半減期後の価格上昇が過去より弱く、世界的な流動性や機関投資家の資金フローといったマクロ要因が価格形成に強く影響しているという分析が出ている。こうした背景から、一部の市場関係者は「今後は4年サイクルが通用しない」「市場構造が成熟した」とする見方を示している。
過去の4年サイクル、例えば、2012年、2016年、2020年の各半減期後には価格が大幅に上昇し、その後の弱気相場を経て次のサイクルへと移行するという典型的なパターンが見られた。過去3回の半減期では、およそ12~18カ月後にピークを迎え、その後、1年程度の調整局面が続いた。この反復性が4年サイクル理論を支持する根拠だった。
今も有効と主張する理由
このような中、Fidelity(フィデリティ)のグローバル・マクロ・ディレクター、Jurien Timmer(ジュリアン・ティマー)氏は4年サイクル自体は依然として「有効」との見解を示している。ティマー氏は、2025年10月にビットコインが約12万5000ドル付近で付けた高値は、価格と時間の両面で過去のサイクルと整合していると指摘し、チャートパターンと時間軸の分析から、「現在のサイクルは過去の4年サイクルと密接に一致している」と主張する。
2026年は弱気相場
とはいえ、ティマー氏は4年サイクルの「次の局面」として2026年を弱気相場の年と予想している。伝統的なサイクル論では、半減期後に強気相場のピークを迎えた後は比較的低調な期間が続くというパターンが多かった。ティマー氏はその点を重視し、2026年をビットコインにとって「休みの年(off-year)」になる可能性が高いとみている。具体的には、主要な支持線を約6万5000ドル〜7万5000ドルのレンジと予想し、この期間は価格の調整や小幅レンジ推移が中心になるとの見方を示した。
ティマー氏は長期的な強気姿勢を維持する一方で、短期的には市場が伝統的なサイクルの影響を受け、2026年に弱気が優勢になることを示唆している。
|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
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