暗号資産(仮想通貨)専業11年目の墨汁うまい(@bokujyuumai)です。日本国内でもイーサリアムトレジャリー企業のTORICO【7139】やビットコイントレジャリー企業のメタプラネット【3350】のようにいわゆる「DAT(デジタルアセットトレジャリー」と呼ばれる新たな暗号資産(仮想通貨)の投資形態が話題となっています。
本稿ではこの理解の難しいトレジャリー企業の仕組みについてわかりやすく解説を行います。
トレジャリー企業とは?
暗号資産のトレジャリー企業とはイーサリアム(ETH)やビットコイン(BTC)などの時価総額上位の暗号資産を企業が準備金として購入し、コンバーチブルノートのような方法で資金調達を駆使、それからさらに暗号資産を購入する上場企業を指します。
ここで重要となるのは上場企業である必要があり、あくまで資金調達をする際には既に保有している株や将来の株の引き換えとなるコンバーチブルノートなどであり、OTC取引などの非上場企業ではだめなのです。
このトレジャリー企業の先駆けは米マイクロストラテジー(Micro Strategy)がビットコインを購入して価格高騰で成功したことで幅広く知られ、イーサリアムではシャープリンクゲーミング(SharpLink Gaming)が2025年5月27日に600億円を超える資金調達をし、イーサリアム準備金としてETHを購入することを発表したことからビットマイン(Bitmine)など、多くのイーサリアムトレジャリー企業がこぞって参画したことで知られています。
トレジャリー企業の仕組み
では実際に暗号資産のトレジャリー企業がここまで増えた理由を仕組みから理解していきましょう。
まずトレジャリー企業を計画している企業は、TORICOの例ではFiNANCiE代表取締役CEOの國光宏尚氏を迎えているように暗号資産に詳しい戦略アドバイザーを迎える必要があり、その後目的に沿った上場企業を提携または買収する必要があるのです。そしてその上場企業の保有している株やコンバーチブルノートを使用し、ヘッジファンドなどの機関投資家から資金調達を行い、その資金をETH購入に当てるというわけです。
〈出典:墨汁うまい – 【サンワード証券主催、仮想通貨の現在と未来 「いつか」は来ない。行動した者だけが、未来を掴む。】より〉
その購入したイーサリアムはTORICOの資産として計上されることになります。ここで面白いのは市場の価格は需要と供給で決まるため、数億円単位で購入を行うイーサリアムトレジャリー企業において、資金調達からのETH買いは価格の上昇を促すことになるわけです。
そうするとこの資金調達やタイミングを見てETHを買うと、トレジャリー企業の保有するETH資産額は市場と連動して高騰するということになります。
これはトレジャリー企業が保有する資産に対して株価がやすいという状態に陥りやすく、それに合わせた市場の買いがTORICOのようなトレジャリー企業の株価を上昇させるという仕組みです。
すなわちトレジャリー企業にとって重要なことは
1. 資金調達できること
2. 本質的価値が高く需要がある暗号資産であること
という2点ということになるわけです。
〈出典:墨汁うまい – 【サンワード証券主催、仮想通貨の現在と未来 「いつか」は来ない。行動した者だけが、未来を掴む。】より〉
▶関連記事:【墨汁うまい氏寄稿】仮想通貨の現在と未来 「いつか」は来ない。行動した者だけが、未来を掴む。【サンワード証券主催イベントレポート】
イーサリアムとトレジャリー企業の親和性
一方でトレジャリー企業はどのような暗号資産でも親和性があるものではなく、特にビットコインとイーサリアムでは大きく異なるのです。まずビットコインはゴールド(金)と同じで保有するにはカストディ保管コストがかかり、金利を生むどころか保管費用がかかってしまいます。
故にビットコイントレジャリー企業は資金調達をし続け、ビットコイン価格が上昇するというシンプルな仕組みとなるのです。一方でイーサリアムの場合は2022年9月20日のマージ(The Merge)の大型アップデートでマイニングからステーキングに移行、すなわち「ETHを購入後にバリデータとしてイーサリアムネットワークに参加することでETH報酬を得ることができる」わけです。
すなわちTORICOのようなイーサリアムトレジャリー企業が購入したETHはステーキングをし、ネットワークのセキュリティを高めつつ2~3%の報酬を安定して得ることができるということになります。
ここで墨汁うまいが重要視している点は
「価格が上昇して投機を狙うのではなく、トレジャリー企業やの資金がイーサリアムネットワークをよりセキュアに保ち、なおかつETH高騰における恩恵を受けるという相互親和性の高さ」
なのです。
従ってイーサリアムとしてはヘッジファンドが間接的に資金をイーサリアムネットワークに入れてる状態であり、セキュリティが上昇することでイーサリアムの本質的価値が上昇するという価格上昇だけでない大きな貢献があるのです。
ビットコインも価格が上昇すれば攻撃コストが上がるため、間接的にはトレジャリー企業は貢献している一方、マイニングをするには専用のASICに維持する電気代が必要で、ビットコイン価格や現物とは関係がないためバリデータとして自由にネットワーク参加が可能なイーサリアムはトレジャリー企業に最も向いているといえるでしょう。
▶関連記事 – 「株式会社TORICO Ethereum」設立完了──親会社のETH保有は1600枚・8億円規模に
日本における税制の利点
また現行の資金決済法で規制される日本においてはトレジャリー企業を介してETHに間接的に投資することでNISAを使用すればキャピタルゲインだけでなくステーキングのインカムゲインさえも非課税となるわけです。
またより大規模であれば申告分離課税であるため、20.315%となり、総合課税の最大55%と違って事実上の節税といえる状態でETHに投資できるというのが大きな利点でしょう。
暗号資産推進派のトランプ政権発足で暗号資産産業は米国政府からの強い支援を受けており、その結果ブラックロックやフィデリティのイーサリアムETFやビットコインETFが実現、その余波で日本も2026年から2027年にかけて資金決済法から金融商品取引法に繰り上げをすることで分離課税が実現するのは2028年1月からと見られています。
この2年における税制は最大55%であり、NISAを介してETHの利益が非課税となる点は個人投資家には非常に大きいでしょう。
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